Jan
28
片ひざをつきながらも、そいつはまだ笑い続けた。そして、何やらひきつけでも起こしたように、髪の毛に手をやった。つかんだ指の間に、つやのない長い髪の毛が見えた。そいつは髪の毛を引きむしり、それをこちらに差し出した。何かかけがえのないものをくれようとしているようでもあった。
死の迷路 / フィリップ・K. ディック, 山形 浩生(via to)